「お月様にはうさぎが住んでいて、お餅をついているんだよ」
と教えられた子供の頃。お月様を見ながらうさぎを探して、
「ほんとだ!」という驚き。
そもそも、なぜお月様でうさぎがお餅をつくのか、不思議ですよね。
お月様と、うさぎと、お餅の関係についてご紹介したいと思います。
十五夜の月にうさぎがいるのはなぜ?
古くから、日本では「月にはうさぎが住んでいる」と童話や童謡などでも語り継がれていますよね。
月とうさぎの関係には諸説あるようですが、インドの仏教説話やジャータカ神話が由来しているのではないかといわれています。
◆月うさぎの伝説◆
3匹は、自分達の姿がイヤでいつも
「何か誰かの役に立つことができないか」と話していました。
誰かの役に立つことができれば、変わることができるかも知れないと考えていたからです。
ある日、3匹の目の前に疲れ果てた老人が現われます。
老人は、とてもお腹が空いていて動くことができません。
「お腹が空いて、もう動けません。何か食べ物を分けてくれませんか」
3匹は「役に立つことができる!」と喜んで、老人のためにすぐに食べ物を探しに行きました。
サルは木に登って木の実や果物を、キツネは川で魚を取ってきました。
しかし、ウサギは一生懸命頑張って探しましたが、何も持ってくることができませんでした。
ウサギは考えました。
「もう一度探しに行ってくるから、火を焚いて待っててください」
サルとキツネは言われたとおり火を焚いて待っていました。
しばらくしてウサギはまた何も持たずに帰ってきました。
そんなウサギに、サルとキツネは、嘘つきだ!と言い出しました。
するとウサギは、
「私には食べ物をとる力がありません。どうぞ私を食べてください」
そういうと、火の中に飛び込み、自分を食べ物として老人に差し出しました。
これを見た老人はすぐに帝釈天(たいしゃくてん)という神様の姿に戻って、やさしい3匹を人間にしてやろうと言いました。
そしてウサギの行いに感心し、あまりにも可哀想だと、勇敢なウサギの姿をずっと見られるようにと月にウサギを昇らせました。
この神話がお月様の模様がうさぎに見えることの由来となっています。
自分を犠牲にしてまでも人のためになることをした。このことが、ずっと語り継がれているんですね。
それにしても、悲しすぎます・・・。
月でうさぎが餅つきをしている理由は?
中国では月でうさぎが餅をついているのではなく、不老不死の薬草をついているといわれています。
これが日本に伝わってから、「望月(もちづき)」という満月を表す意味の言葉が次第に「餅つき」に変わっていったとも考えられています。
他にも、
・帝釈天(たいしゃくてん)のために餅つきをしている
・うさぎが食べ物に困らないように餅つきをしている
など諸説あります。
餅つきといえば日本では、おめでたい儀式のときなどに用いられますよね。「十五夜のお月見」には豊作の祈りや収穫祭などの意味合いがありますし、うさぎがお餅をついている様子は、十五夜の収穫祭がより一層おめでたい気分になりそうですね。
お正月の餅つきを想像してしまいます。
あとがき
「人の役にたちたい」という、うさぎの健気な想いに、涙が出そうです・・・。何気なくそういうものだと思って過ぎ去ってしまう行事にも、色々な神話や由来などがあるんですね。次の十五夜ではもっと感謝の気持ちでお月見をお祝いできそうです。