秋になるとフジバカマの花に集まってくるアサギマダラ。渡り蝶と呼ばれて
いるこの不思議な蝶は綺麗な姿でも良く知られていますね。
それにしても、花なら他にもあるはずなのに、いったいなぜフジバカマの花に
集まってくるのでしょうか?今回はフジバカマとアサギマダラの不思議な関係
についてご紹介したいと思います。
フジバカマってどんな花?
秋の七草の一つでもある「フジバカマ(藤袴)」は夏の終わりから秋の初め頃に花を咲かせる、キク科ヒヨドリバナ属の多年草の植物です。スッと伸びた茎に房状の赤紫系や白い小さい花がフワフワした姿がかわいい姿です。
かつて野生のフジバカマは土手や河原などでたくさん自生していましたが、現在では繁殖する場所も少なくなって絶滅危惧種に指定されています。昔ながらの草花の数が激減してしまっているなんてなんだかさみしいですね・・・。
そんなフジバカマは、園芸店などで観賞用の苗が販売されていますので、ガーデニングなどお庭でも楽しむことができます。けれど、ほとんどの場合はよく似た同属他種か藤袴との雑種なのだそうです。
自然の中ではなかなか見かけることが難しくなっている貴重なフジバカマ。種が絶えないように咲いていて欲しいですね。
秋の七草についてはこちら→秋の七草の由来や種類は何?春の七草とは何が違う?
フジバカマとアサギマダラの関係は?
そんなフジバカマは渡りをすると言われる蝶「アサギマダラ」が飛来する花でもあります。アサギマダラが好きな花はフジバカマとも言われています。
・アサギマダラってどんな蝶?
長距離を移動する謎の多い蝶「アサギマダラ」は、翅を(はね)を広げると大きさは10cmほどで寿命は4~5ヵ月ほど。
黒い模様と淡いあさぎ色を帯びておりとても美しい蝶です。
春から夏にかけては日本列島を北上して、秋になると越冬のために南下をする日本で唯一の「渡り」をする蝶です。その距離はなんと2,500キロもの長い旅を移動していたり、信じられないことに海をも渡っているんだとか。
あんな小さな蝶がどうやってそんな長旅ができるのかとても信じられませんよね。
・なぜフジバカマにアサギマダラが集まるの?
フジバカマの花には、ピロリジジンアルカロイドという毒が含まれているため、アサギマダラの体内に取り込まれていくようです。美しい鮮やかな色彩も天敵に対する警戒色であると言われ、そのために鳥に食べられることも少ないと考えられています。
あの翅(はね)の美しい色彩には「私は毒を持ってますよー」「食べない方がいいですよー」と天敵にお知らせしている役目もあるんですね。
その他にも、フジバカマにはメスを引き寄せるフェロモンの成分が含まれていて、集まるのはオスだけとも言われています。なんだか生命の神秘を感じますね・・・。
そして、何のために長距離を移動するのか?はまだ謎の部分が多いようです。本当に不思議な蝶ですよね、本当に何の意味があって海を渡ったりするんでしょう。
去年私は、そんな不思議なアサギマダラが見たくなって、フジバカマを庭に植えてみました。本当にフジバカマに寄ってくれるのか半信半疑でしたが、なんと庭の片隅に植えたフジバカマに、10月の下旬ごろアサギマダラが現われたんです!
感動です~。本当に来てくれました。ふわりふわり優雅に飛んでいるその姿は気品さえありました。そしてうわさどおりの美しさ。綺麗な色彩で見とれてしまいます。
どうしてここにフジバカマがあるのがわかったのか、どこから来たのか本当に不思議。。雨の日も来てくれましたよ、ふつう雨の日に蝶が飛んでいる姿はあんまり見かけないものですが、やっぱり渡りをする蝶なんだなぁ、と力強さも感じました。
数日で行ってしまいましたが、どんな遠くまで飛んでいくのかと、旅の無事を願わずにはいられませんでした。どうか無事に目的地に着きますように。
さいごに
日本で唯一の長距離を移動する蝶「アサギマダラ」は秋の七草の一つ「フジバカマ」の花が大好きなので、フジバカマをお庭に(プランターでも大丈夫)植えてみると来てくれるかもしれません。フジバカマの花にアサギマダラが飛んでくるのを見てしまうととにかく感動ものですよ~。^^